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バクバクと心臓が鳴り、ゆりのアカウントへ飛んでみる。今までの投稿を一つずつ追ってみた。
『初めてサッカー観戦!』 滝沢が応援してるチームの試合。
『美味しいご飯、食べすぎちゃったよー』個室と見られる飲食店。隅にかかっている滝沢のコート。
『今日は大事な人が来てうちにお泊り! 鍋したよ』 鍋の写真の端に、滝沢の好きなお酒とつまみ、それから滝沢の手。
『記念日、プレゼント嬉しい』映るネックレスの写真。
美緒は愕然としながらすべてを知った。
(ずっと付き合ってたの……?)
普段はそんなにSNSを見ないタイプだった美緒は、ゆりの投稿の意図に気が付かなかった。彼女はずっとこうやって知らせていたのだ。
滝沢と深い関係にありますよ、と。
「……あんまりだよ」
二股掛けられていたなんて、ちっとも気づかなかった自分にも怒りが沸く。よりにもよって自分の後輩となんて、滝沢は何を考えていたんだろう。
だが、彼が最後に言った言葉が蘇った。
『やっぱ付き合ってくなら可愛げがないと』
「ああ……そっか」
ゆりは美緒と真逆の人間だった。きっと甘え上手で可愛らしいゆりを選んだのだろう。自分にはない物を持ってる。
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