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そう思うも、今滝沢と連絡を取るのは億劫に思う。少し落ち着いたときにラインでもしてみよう。
そう結論を出し、お昼までもう少し進めてしまおう、と再度取り掛かろうとした時、背後から高い声が響いてきた。
「大川さーん」
どきり、と胸が鳴る。
ゆりは笑顔で美緒の元へ駆けよってきた。脳裏に昨日見たSNSの写真たちが浮かんだが、平常を保つよう自分に言い聞かせる。ゆりに気づかれないよう、静かに深呼吸した。
ゆりはどこかわくわくした顔で美緒を覗き込む。が、ゆりから見て、美緒は普段通りの無表情だった。
「はい。何かありましたか」
美緒はゆりの方を見ないままそう言った。いつも通りのその様子に、ゆりは少し口をとがらせる。
(落ち込んでるかと思ったけど、普通にしててなんかむかつく)
動揺する姿が見られると期待していたのだ。でも、美緒は普段と何ら変わりはない。その姿がやけにゆりの神経を逆なでした。
ゆりはにっこり笑い、美緒に囁くような声で言う。
「滝沢健司さんってご存じですかー? 大川さんは同期なんですけど」
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