大川美緒の心の中

6/27
前へ
/145ページ
次へ
 翌日、登校するとクラス中から無視されるようになった。声を掛けても返事がない。グループ学習などもまるでいないかのように扱われる。すぐにこれは仕返しなのだ、と気が付いた。  それでも、自分は間違ったことをしたと思っていなかったので、周りから無視されようが胸を張っていられた。ーー庇った友人にまで無視されるまでは。  元から大人しい友人は、クラス中の子を敵に回すのが耐えられなかったのだろう。美緒と距離を置いて話をしなくなった。一緒に食べていたお弁当も、移動教室も、美緒は全て一人ぼっちになった。  それは卒業まで続き、美緒は一人で耐え忍ぶしかなかった。美緒のスマホの写真データにはある時期を境に全く増えなくなったし、卒業アルバムの寄せ書きページは真っ白だった。今思い出しても、胸の奥がぎゅっとなってしまう。  その経験があって、美緒はすっかり人付き合いが苦手になってしまったのだ。  自分がしたことは後悔はしていない。でも、もう少し穏便に済ませる方法もあったのかもしれない。自分の立ち振る舞いの下手さに辟易し、それを引きずったまま今に至ってしまっている。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4912人が本棚に入れています
本棚に追加