大川美緒の心の中

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 すると翌日、上司がその仕事についてゆりを褒めた。ゆりは、美緒がやったとは決して言わず、にこにこ笑顔で喜んでいた。見ていた美緒は本当のことを言おうかと思ったが、盛り上がっているところに水を差すようで言えなかった。  美緒が黙っていることを知り、ゆりは味を占めてしまったらしい。  たびたび『難しいから』『おばあちゃんの具合が悪いから』『母が入院中だから』などどいってゆりに仕事を押し付け、それをあたかも自分がやったように手柄をものにした。  こんなやり方はゆりにとってもよくない。美緒は心では分かっていたのだが、言い返そうとすると高校のことがフラッシュバックする。悲しいことに、ゆりはあの時のキラキラ女子によく似ていた。可愛くておしゃれで、明るくてみんなの中心にいる。発言力もあり、自分よりずっとみんなに馴染んでいる。  波風を立てたくない……その一心で過ごしている。 「えっと……これはこの前と内容は似てるから」 「あのー私飲みに誘われてるんですよ。大川さんと違って時間ないんですよーお願いできますよね?」  ゆりがそう冷たい声で言ったので、押し黙る。
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