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「ユキちゃん、また痩せたんじゃない?」
確かに、一年前よりも五キロほど落ちた。もともと細身だったけれど、胸も心なしか小さくなって、Sサイズのスカートでも緩く感じることがある。
「明日はお味噌汁もつけようか」
「もう充分です。そんなに食べられませんから」
苦笑すれば、蓉子ママは困り顔で微笑んだ。
この一帯で一番の高級クラブである芙蓉の蓉子ママは、その昔、銀座の一等地のクラブでチーママをしていたのだとか。
その手腕を裏付けるように、芙蓉は周辺の老舗なんて目じゃないほどの人気店だ。
一年前、身一つと言っても過言じゃない状態でこの街に来た私を拾って、ろくにお酒が飲めなかった私にホステスの仕事のノウハウを叩き込んでくれた。
幸せだったあのクリスマスから、もうすぐ二年。
私は、すべてを捨ててこの街で生きていた――。
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