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翌日の夜に帰国した旺志さんは、真っ先に私のもとに帰ってきてくれた。
『俺がなんとかするから心配しなくていい。ふたりで一緒に乗り越えていこう』
当たり前のように励ましてくれる彼を前に胸が痛み、昨日は出なかった涙が零れそうになった。
『こんなことで頼れないよ……』
『真白はいずれ俺の妻になるんだから、なにも遠慮することはない』
戸惑う私にかけられたのは、迷いのない言葉。
目を見開けば、旺志さんはハッとしたような顔をした。
『いや、こんな言い方はよくないな。きちんと伝えさせてくれ』
一拍置いた彼が私の手を取り、真剣な双眸で見つめてくる。
『真白、俺と結婚してくれ。真白を傷つけるすべてのものから、必ず真白を守る。神室の姓になれば苦労をさせるかもしれないが、一生愛し抜くと誓う』
きっと、なんでも完璧な旺志さんが描いたプロポーズとは違っていたんだと思う。
けれど、私にとっては人生で一番嬉しい瞬間だった。
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