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二章 君を手放す気はない
外に出ると、雪はやんでいた。
夕方よりも少しだけ深くなった雪道を、旺志さんに手を引かれて歩く。
飲み屋街になっている路地は、いつも通り賑わっている。他店の知り合いと目が合ったときは興味深そうな目を向けられて、曖昧に微笑み返すことしかできなかった。
行き先はわからない。
けれど、彼が訊きたいことはだいたいわかっている。ただ、私から口を開く気はなかった。
だって、油断すれば泣いてしまいそうだったから。
奥歯に力を入れて唇を噛みしめていなければ、今にも涙が込み上げてきそうだった。
大通りを渡ると、駅が見えてきた。
旺志さんは駅の手前にある公園の前で足を止めると、すぐに公園内に向かった。
三十秒ほど歩いたところで、屋根付きのベンチにたどりつく。雪が積もっているそこには座らずに、彼が振り返った。
「さっきの質問に答えてくれ」
真っ直ぐに見つめられ、私はますます唇を噛みしめる力を強めた。
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