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いくら社長令嬢とはいえ、神室とは格が違う。
だから、もう二度と関わることはないに違いない。
そう思っていた私の目の前に、彼が現れた。パーティーから三日後の、上弦の月が美しい夜のことだった。
驚く私に、旺志さんは私があげたつもりだったハンカチを返しに来てくれただけじゃなく、その何倍もする高級ブランドのハンカチをプレゼントしてくれた。
『今度の日曜日、俺と会ってくれませんか』という言葉とともに。
男性とふたりきりで出掛けたことなんてなかった。
恋なんて、ちっとも知らなかった。
けれど、柔和な微笑を向けてくる彼の誘いを断れなかった。
そんな私が旺志さんに恋をするまでは、本当に瞬きをするようにあっという間のことだった。
私よりも七歳年上の彼は、なにをするにもとても大人で。私なんてどんなに背伸びをしても、恋愛対象として見てもらえないと思っていた。
だから、旺志さんから告白されたときは驚きでいっぱいで、最初はしばらく信じられなかったほど。
それでも、彼を信じたかった。
ところが、そんな私の不安を余所に、旺志さんは私を大切にしてくれている。
恋人になって一年が経った今は、彼の愛情をしっかりと感じていた――。
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