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「8合目瞑想指定区域で新谷正雄と高窪アキラを窃盗罪で確保しました」
富士山八合目特別警察隊の山瀬からの連絡があった。
「ご苦労さま。新谷と高窪の様子は?」
と警察本部側は聞いてきた。
「はい、新谷も高窪も酷い有様です。頭痛がひどく青ざめて毛布のなかで震えてますよ」
「分かった。慎重に下山してくれ」
「了解しました。引き続きよろしくお願いします」
と言い電話を切ったあとため息が出た。
このように富士山八合目特別警察隊が設置されてからというもの静岡県警の犯人確保の確率が格段にあがったようだ。
静岡県警は県内に犯人が逃げ込んだと見込みをつけると「瞑想による瞬間移動」のサイトを犯人候補にさりげなく提示して富士山八合目に誘導して確保するという手段を数年前から実施していた。
このやり方は弾丸登山と同じように高山病にかかるの犯人を確保しやすいのと、その際、高山病で苦しむ犯人の姿を録画して弾丸登山禁止を訴える啓発活動の一環に役立てられていた。
しかし犯人確保の確率が上がるとはいえその際の高山病に苦しむ犯人の姿はあまりにも無惨で今後その点が課題となるであろう。
現場職員としても汚物処理に追われて大変なので本部のほうで早めに検討してもらいたいものだ。
完
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