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アスリートのなかでも登山家が特に距離を伸ばした。
2060年に2087メートル
2064年、3240メートル
2070年、4047メートル
彼らにしてみるとどうやら山というとシンボル的なものがあると瞑想しやすいようで瞬間移動距離を伸ばすうえでおおいに貢献していた。
記録は年ごと更新されて現在五十年の月日を経て山への瞬間移動は指定瞑想と組み合わせて誰でも500キロまでは成功させたのだった。
「この記述についてどう思う?」
俺はカーテン越しに警察を警戒している相方に話しかけた。
「どうもこうもないだろ、胡散臭いぜ。瞬間移動なんてよ」
にゃーちゃんはこちらに目も向けずに返した。
「それが実現可能なだったらどこでもドアみたいなものだよな。なんで話題にならなかったんだろ」
にゃーちゃんは警戒してる警察官らしき男の姿を目撃するたびに表情を曇らせて興味はないにしろ手段を選んでいられない現状を理解していた。
「それは、これだけ情報量があると凄い情報だったとしても埋もれてしまうものじゃないかな?」俺は思案して応えた。
「俺たち、やってみるしかなくない?」
そう言うとにゃーちゃんは苦笑いと高笑いの入り混じった声を上げる。
「高窪、お前本気で言ってんのかよ」
今度はこちらをみて威圧的に言った。
「本気だよってか選り好みできないじゃん」
そうだよ、にゃーちゃん。僕らはもうやるしかないじゃん!
「でも…逃げるたって富士山がここら辺でいう指定瞑想区域だけど…高過ぎね」と言ってイヤな予感がした。
「うん、もう行くしかないよ」ここなら、こんなに高い山なら警察も追って来ないだろう。
高窪は追い詰められた焦りから安易にそう言ってしまった。
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