第0章 桃の花

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武田信玄「実に忌々しい。軍神だか、龍神だか知らんが暇さえあれば…私の邪魔ばかりするのは趣味なのか…?」 武田信玄が甲斐国にある自らの館・躑躅ヶ崎館から恨めしそうに見つめるのは… 上杉謙信「しかし…。さすがは3度の飯より軍略が好きだと言うだけの男。奴の軍略はひと味もふた味も違う。」 越後国を治める上杉謙信が住まう城ではありますが上杉謙信は武田信玄の事よりも美酒と武田信玄の軍略に酔いしれておりました。 綾「呑みすぎです!謙信!」 そこに現れたのは… 上杉謙信の姉で綾御前。 綾御前は料理が致命的なので、 その料理が原因で夫の命を奪ったなどと揶揄される程の女性である。 綾「牡蠣を食べさせただけですよ?きちんと焼いたはずですが…」 どうやら食中毒のようで… 牡蠣はきちんと焼いたか確認をして それも新鮮なものを使用して下さい。 綾「1週間前に水揚げしたものでしたが夫婦喧嘩の延長線上でつい…」 くれぐれも…こんな事をやらかさないように…皆様は御注意下さいね。 上杉謙信「義兄上もお気の毒に…」 上杉謙信は綾の致命的な料理を食べさせられ命を落とした義兄を偲んで… 合掌しました。 綾「わざとじゃないのよ?少しばかり反省して頂きたくて…あ、違うのよ。命を奪ったかも知れないけれど…そんな事をするつもりではなかったの…」 上杉謙信は… 上杉謙信「反省…反省と口にしておられますが姉上こそ…反省して下され…1人の人間が姉上のせいで命を落としたのですよ?」 産まれてから1番近くにいた女性が、姉である綾なので… 上杉謙信「祝言を挙げたら女は、 男の事を自らのものだと思い…」 綾みたいな女性ばかりではないとは思いますが綾のせいで上杉謙信はどうやら女性に対する恐怖心を拭いきる事が出来なかったようでした。 お船「お館様、女性にも色々おりますので…これが正解だと言えるものはないのやも知れませぬ…」 直江兼続の正室であるお船は、 上杉謙信の荒んでしまいそうな心を守りながら料理などの家事も引き受けておりました。 そんな謙信が苦手なものは、 上杉謙信「牡蠣!」 ちなみに…謙信が牡蠣を嫌うのは、 平和を求める民衆のためだそうで… 上杉謙信「武田信玄や織田信長、 戦国時代だからと言って何でもありな彼奴(あやつ)らから民衆を守らなければならぬ…!」 そんな上杉謙信の弱みはある意味では綾の存在でございました。 綾「愛を知らぬとは…謙信、愛を知る為に誰か女性を探して来なさい。」 基本的に綾の考える事は無茶を極めており上杉謙信はそんな綾に対して頭を抱えておりました。 上杉謙信「愛とは…誰でも良い訳ではありませぬ…愛を与えるべきかきちんと把握する必要があります。」 上杉謙信からすると… 武田信玄は綾とは違い…無茶を極めたような発言をしない事もあり… 上杉謙信「姉上よりもまだ宿敵と川中島で戦いをしている方が幾らかマシだ…!」 綾「謙信!貴方には愛が足りないようね…人生とは愛を探し求める試練の日々なのよ…!愛こそ全ての原動力」 上杉謙信「やっぱり…姉上の言葉は…理解をする事が…全く出来ない!」 それはさておき 上杉謙信と武田信玄の戦いでは、 ある地名が必ず登場します。   それは… 〈川中島〉 その歴史は…なんと…12年もの長きに渡るものでございまして… 5回も川中島の地で対戦をした両者ではありましたが戦いの決着はなかなか着きませんでした。 なんと川中島合戦は5回とも… 引き分けで終わったのでございます。 上杉謙信「これで終わったと思うなよ、宿敵よ!」 武田信玄「私は越後の龍と戦うよりも可愛らしい女性と甘味を食べながら愛を語らいたいのだが…」 上杉謙信「愛など… 語らう理由が分からぬ…」
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