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第2章 軍神の姉・綾御前。
その頃、上杉軍が
本陣を構える妻女山に来たのは…
綾御前「謙信、来たわよ。」
…
…
…
上杉謙信「来たわよ…ではありませぬ。姉上。これは戦であり姉上の大好きなままごと遊びではないのです…」
綾御前…上杉謙信の姉で長尾政景の正室ではありますが家事全般が極めて苦手で洗濯をすれば何故か着物が千切りとなる…。
綾御前「昨日も殿と喧嘩をしたのです。着物が千切りになるなど聞いた事がないと…!私は懸命に尽くしているのに…」
長尾政景…綾御前の夫でちょいちょい不器用な妻が起こす問題に巻き込まれてしまう気の毒な存在である。
上杉謙信「姉上、夫婦喧嘩をする度に私が出陣する戦へ参加するのは…迷惑なので控えて下さると有難いです。」
綾御前「戦に参加してストレス発散すれば謙信も助かるし私もストレスがなくなるし…良い事しかないのでは…?」
上杉謙信『相変わらず無茶苦茶な事を論じるのは誰に似たのか…?』
上杉謙信は破天荒過ぎる姉のお陰で
頭の奥が痛みを覚えていました。
上杉謙信「姉上の男勝りなところは直して頂きたいと切に願いまする…。」
この年で37歳となるはずの綾御前は、
相変わらずイケイケドンドンな性格で
綾御前「目の前に妻女山があったから登ったのよ…それが問題かしら?」
〈目の前に山があるから登る…〉
登山家のような事を口にする綾御前ではありましたが上杉謙信は、
上杉謙信「問題だらけです、上杉と武田の戦いですから確実に命が危うくなるかも知れないのですよ?」
綾御前にも分かるように言葉を
噛み砕きながら説明をしたのだが、
綾御前「そう言えば海津城からの狼煙が明らかに増えていましたよ。もしや何か大それた作戦を仕掛けるつもりではないかしら?」
これ以上、弟である謙信から叱られたくないのか綾御前は突然話を変えてしまいました。
上杉謙信「…しかし…もし姉上の言う通りならば…このまま妻女山にいても危うくなるであろうな…」
こうして…
上杉謙信は姉である綾御前の言葉を聞いて夜に行動を起こす事にしました。
何故ならば…
村上義清「明日の朝は濃霧になるでしょう。それ故に武田を混乱させる事も可能でございましょう…。」
村上義清…信濃国を治める豪族だが武田の侵略により領地をいつ奪われるのか不安ばかりが先立っていた。
上杉軍はその日の夜、
一切の物音を立てないよう器用に下山を試みて裏を掻く事を決めました。
上杉謙信「いつもは困った姉上ではありますがこういうところでは判断が光りますなぁ…」
綾御前「嫌味な事を口にしないで…
武田が裏を掻かれた事でどうなるか楽しみではあるわね…」
こうして…
夜の闇に紛れて八幡原へ本陣を変更した上杉軍の動向など気づくはずもない武田軍はと申しますと…
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