幸せ推し生活

初めての推し

歳の差３５か。
多分、日奈汰くんの母親と同じくらいか。

次の日仕事に行って、ロッカールームで
隣の同僚の沖田さんに話した。

「沖田さん、【小南　日奈汰】って知ってる？」
「あ、昨日の歌番組に出てたよね？」
「沖田さんも見てた？」
「うん。私は、【シデンス】目当てで見てたけど」
「あ、最近人気のボーカルユニットの？」
「そう！佐久さん知ってた？」
「ええ。芸能関係疎い私でも、知ってる。すごく人気あるよね。沖田さんも若い人のファンなんだ」
「年齢は関係ないよね。いわゆる『推し』よ」
「やっぱり小南くんはまだそんなに有名じゃないのかな？」
「う～ん、ミュージカル系は、界隈の人には認知高いけど、私も昨日の番組で知ったわ」
「そうなんだ」
「その俳優さんがどうしたの？」
「……一目惚れしちゃったの」
美月は、声を潜めた。
「そうなんだ～。でも分かる。私もシデンスの長谷くんは好きなドラマの主題歌を歌っていたのがきっかけだもん」」
「わーそうなの？」
「佐久さんも、推し活が始まるのね。お仲間ね」

同僚の沖田さんから、私は色々教わった。
学生時代から、あんまり芸能人を追いかけるとかしてこなかったし
最近の推し活事情は、全く分からない。

沖田さんが言うには、まずはファンクラブがあるなら入った方が良いと言われた。
調べると、ファンクラブは最近出来たみたいだったので、早速入会。
会員ナンバーは７１４番。
まだ１０００人もいないのかな？
今まで、SNSはやってなかったけど
私もアカウントを作った。
日奈汰くんのフォローもした。
フォロワーさんを見ると
１０代から２０代のファンばかりだ。
近々ファンの集いがあると言う。

テレビではなく、直接会えるのなら
本当に和哉に似ているか
確かめたいと思った。