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推し活20年
日奈汰のファンになって20年。
彼もデビュー25年。
記念イベントが開催となり
もちろん、綾夏ちゃんと陽菜と一緒にチケットを取った。
去年、ちょっと体調を崩したりもしたが
日奈汰の舞台やイベントの日程に合わせて
体調管理して、会場までは息子達が送ってくれるし、いつでも綾夏ちゃんもいるから、安心して行くことが出来る。
私も誕生日が来たら、75歳になる。
こんなに長く日奈汰を応援し続けるとは
思わなかった。
飽きることなく20年。
日奈汰も、ここまで
元気に、私たちが推し続けられるように
頑張ってきてくれたおかげ。
ただ、私にとっては
いつも、和哉の面影を
日奈汰に感じていたからだと思う。
和哉が、事故で逝った時と
日奈汰は同じ年頃になった。
和哉は、写真の中であの日から
ずっと歳をとらない。
けれど、鏡の中にいる私は
しっかり年輪が刻まれている。
もう今、和哉に会っても
気づいてくれないかもしれない。
髪型は、変えてないけど
白いものが多くなった。
でも、今の幸せは
日奈汰がくれたもの。
綾夏ちゃんと、陽菜ちゃんと
優しい息子達に囲まれて
日奈汰のアクスタの隣には
和哉が笑っている。
ああ、本当に幸せだ。
今日は日奈汰のデビュー25周年イベント。
若い頃の怪我のために、膝を痛めて
杖が必要になった。
しかしこの日は、初めて最前列のセンターを
とることが出来た。
3人でセンター最前列席なんて
ご褒美としか思えない。
最終日のこの日、夢のようなコンサートの
お決まりのアンコールの後、サプライズで
3回目の日奈汰の登場。
より一層の歓声を浴びながら
日奈汰は、ステージの際に座った。
私の目の前に、手が届きそうなところに日奈汰がいる。
スタッフが、日奈汰のギターを運んできた。
時々インスタライブで、弾いたりしてくれるけど
コンサートで弾くのは初めてだった。
軽く弦のチューニングをした後
日奈汰は
「最後の曲です」と言って
イントロを弾き出した。
ビートルズの「イエスタデイ」
最初の一小節を聞いただけで
私は涙が止まらなかった。
目の前の日奈汰は、涙で水中から見る
水面の様に、揺れていた。
もう、日奈汰ではなく
和哉にしか見えない。
聞こえる声も、それは和哉だ。
「和哉、逢いたかった。もう一回逢いたかった。
逢えたね、和哉」私は、心の中でそう話しかけていた。
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