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私は魔法使いだから。
幼い私に、母はよくそう言った。
あなたが困った時は助けてあげる。私は魔法使いだから。
あなたが好きなものを、たくさん作ってあげる。私は魔法使いだから。
幼い頃の私は、それを素直に信じていた。
だって母は本当に、絵本で見た魔法使いみたいに何でも出来たから。
母の手にかかればただの真っ白な粉はふわふわのまんまるなパンになったし、薄いお布団みたいな味気ない布は、私が大好きな絵本に出てくるうさぎさんとお揃いのワンピースになった。大嫌いなにんじんは甘くて美味しいスープになったし、転んで怪我をしても、母が呪文を唱えれば、痛いのはどこかへ飛んでいった。
おかあさん、魔法で作って。魔法でなおして。
その頃の私は、それが口癖だった。
そう言えば私の願いは、何でも叶うと思ってた。
まぁ、子供だったからね。
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