34人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「その話、何歳くらいまで信じてたの?」
ブラインドの紐を巻き取りながら、あなたが訊く。しゅるしゅるとかすかな音を立てて隙間が広がり、そこから青い空が見える。まばゆいほどの陽のひかりに、私は少し瞼を伏せた。
「四歳のとき。幼稚園で仲良かった子の家に遊びに行ってね。その子が大好きなアニメを観せてもらったの。そのアニメに出てくる魔法使いが、お母さんが使う魔法と全然違う魔法を使ってた。人間を猫に変身させたり、なんてことない普通のおうちをお菓子の家に変えたり出来るの。私、母にねだった。こういう魔法を使ってみせてって」
***
最初のコメントを投稿しよう!