魔法使いの秘密の呪文

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***  「その話、何歳くらいまで信じてたの?」  ブラインドの紐を巻き取りながら、あなたが訊く。しゅるしゅるとかすかな音を立てて隙間が広がり、そこから青い空が見える。まばゆいほどの陽のひかりに、私は少し瞼を伏せた。  「四歳のとき。幼稚園で仲良かった子の家に遊びに行ってね。その子が大好きなアニメを観せてもらったの。そのアニメに出てくる魔法使いが、お母さんが使う魔法と全然違う魔法を使ってた。人間を猫に変身させたり、なんてことない普通のおうちをお菓子の家に変えたり出来るの。私、母にねだった。こういう魔法を使ってみせてって」 ***  
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