35人が本棚に入れています
本棚に追加
先生と再会
4歳の時に母が亡くなり、父の秘書だった瑠璃さんが後妻に入ってから、家の中では、いつも異母妹の姫香と瑠璃さんが中心で、父は私を疎ましく扱うようになった。居心地の悪い家を早く出たいと思いながら、感情を押し殺して生きて来た。そして私は大学進学と同時に家を出た。
最後に父に会ったのは卒業の報告に行った時で、父に「私はもう家には帰らない。一人で生きていく」と宣言した。それ以来父とは直接会う事はなかった。
そんな父から久しぶりに連絡があった。
『桜子、元気にしているか。偶には一緒に食事でもどうだ。可愛い娘の顔が見たいんだ』
父の言葉が自分でも驚く程嬉しかった。その週の土曜日にベリが丘タウンにあるホテルで父と会う事になった。
最初のコメントを投稿しよう!