唐突なプロポーズ

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「藤井、余計な事を言うな」 先生が藤井さんを睨む。 「言わざる得ない状況を作ったのは海人様ですよ」 「それもそうだな。お客様、どうぞお帰り下さい」 先生が父を解放した瞬間、父は赤絨毯の床に尻もちをついた。 「まさか北沢不動産の……北沢海人……」 藤堂がそう口にし、凄い勢いで立ち上がって先生に頭を下げた。 「北沢様とは知らず、失礼な態度をとって申し訳ありませんでした」 頭を下げたまま藤堂が言った。 「藤堂さん急にどうしたんですか」 床に座った状態で父が藤堂を見上げる。 「こちらの方は北沢不動産の創業家の方だ」 藤堂の言葉を聞き、父の顔色が真っ青になる。 北沢不動産の創業家の方……。 ウソ! 先生が!
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