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「え? だって、被害にあった家の奥さんが証言しているそうですよ。スーパーから帰宅すると、家の中で物色していた強盗と遭遇。強盗は大きなヘルメットを被っていて、奥さんに気が付くと、刃物で脅した後、勢いよく突き飛ばした。その後、バイクが走り去る音もしたって。ちゃんと書いてあります」
ネットのニュース記事をそのまま朗読した。
「それはバイクのヘルメットを被ってたから、バイクで走り去ったと思っただけじゃないの? 音なんてスマホからいくらでも出せるでしょう」
つまり、こういうこと。と、前置きしてから美人は推理を始めた。
「今日の午後六時半頃、被害にあった平川家の奥さんは実際には犯人がバイクで走り去る姿を見ていない。音しか聞いていないのなら、おそらく被害者は突き飛ばされた衝撃で足を痛め、部屋から動けない状況にでもあったのでしょうね。
でも実は、犯人はバイクで遠くに逃げたと見せかけ、途中でヘルメットを捨てた。あの付近にはバイク置き場があるし、ヘルメットはその中のどれかにかけておけば、すぐにはわからない。犯人の思惑通り、奥さんの証言をもとにバイクを追って警察は検問中。でも本当はバイクには乗っていないから、犯人の乗っているバイクなんて、一向に見つからないってわけ」
「でもあのあたりは閑静な住宅街ですよ。あんな場所でそんな怪しい行動してたら目立ちますよ。絶対誰かに見つかるだろうし」
「普段ならね」
「え?」
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