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オリンピック
「アイツのこっちゃ、『あと一回だけや!なぁ!なぁ!頼むわ⁉』って拝むように言いよったやろ⁉ 訊かんでも大体分かるわ・・それでホンマは何回待った言いよったんや?」
「そやな、金で王手した時が・・そう、それが最初やったな、それから、う~ん、銀や、銀で大手したときもそや、そのあとはな・・」
「翔、分かった! みなまで言うな! そこまで聞いたら誰でも分かるわいな」
「へーぇ伸ちゃん、凄いやん⁉ 金打って、銀打って、それ聞いただけで次の一手が分かるやなんてそら凄いわ!・・それで?・・最後、何打ったと思う?」
「そらパリに行かんでも子供でも分かるこっちゃ! 金の次に銀と来たら次は・・銅に決まっとるやないか!」
「・・・アホ! お前はいっつもそうや、そんな調子で平気で人の話を茶化しよる! いい加減にしぃや!」
まるで漫才の脚本そのものですよね。(実際の脚本なんて見たことないけど)
だが同じような『あと一回だけや!なっ!なっ!頼む⁉』のフレーズであったとしても、そのあと一回の行為の結果、人を喜ばせたり幸せになったりしたのでは、およそ漫才のネタとしてはつまらないものになるやもしれませんな。
「あとは副反応の数が実証できれば必ず認可は下りるんだよな、だから今一度翔に実証実験の申請を支持して欲しいんだ」
「だから何度も言うけれど前回の役員会で、俺はお前を推してやったじゃないか、だがそれももう約束の期限は過ぎてしまったんだろ⁉」
「だから改めて翔に・・あと一回だけって頼んでんじゃないか」
「そりゃ駄目だ、伸は以前も言ったじゃないか、これが最後だあと一回っだけだって、でも完成できなかったんだろう⁉ 残念だが諦めろ!」
「世界じゃ大統領や主席の地位を何回も繰り返してるじゃないか」
「それとこれとは話が違う、話をすり替えるなって!」
「すり替えでも何でもするよ、今度の俺は、だってこっちは人類の生命がかかってんだぜ!」
こうなるとぜひ粘って欲しいあと一回となりますが、こうしてあと一回をテーマとして紐解くことで、どうやら今の文化・文明の殆どが、そのあと一回の粘りがあってこそ改革されてきたような気がするのは私だけでしょうか。
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