ゲーム大会

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ゲーム大会

 学校中の生徒が市販のゲームに夢中になることで、学力の低下が顕著に表れ、宿題にいたっては提出率が低下の一途をたどることに教育委員会が問題視した。そんななか一人学業に専念する見取翔に白羽の矢がたったのである。 もちろん担任だけではなく校長はじめ校内の教員の殆どが翔の優秀さは認識していた。  だから職員会議で翔をゲストに招き、何故翔がみんなと違うのか、どうしてゲームの誘惑を抑止しているのかを尋ねてみた。 「見取君、多くのお友達がゲームに夢中になるなか、君はゲームのことどう思う?」 「それは・・勉強よりもゲームのほうが面白いからや、と思います」 「でも君は勉強の方が楽しいみたいだよね?」 「そりゃゲームの方が楽しいですよ。でも今はアプリを創るほうがもっと楽しいんです」 「アプリって、例えば・・?」 「今は、耐震補強のアプリを研究しています。将来は実用の耐震補強アプリを完成して設計事務所に導入してもらうつもりです。それがみんなのために役立つんやなと、考えている時が凄く楽しいんです」 「でもアプリを創るって英語力や理数をマスターしないと無理なんじゃないの?」 「だから塾で勉強しているんです。中三のクラスでね」 「そりゃ賢くなってしまうよね」  その教員の一言に、集まっていた先生方は関心と同時にポンコツな教育方針に痛感するしかなかった。  そのすきに翔はある提案を申し出た。ゲームを否定するだけでは永久にゲームの抑止は出来ないのではないか、自分もゲームをやっている最中にそのアプリを改造することでもっと面白くなるのでは? こんな疑問からHTMLやDOS/Vの扉を開けることが出来たのである。 「ゲームする友達のことを悪く言わないでください。それよりもゲームの裏側で、もっとゲームプレイのようにプログラミングの楽しさを知ってもらえたら・・それは絶対ゲームより面白いし、それにはいろいろな勉強がいるんやということを自分等で発見するやろし・・そのために、もう一度、あと一回だけ先生らと一緒にみんなでゲーム大会をやってもらえませんか? アプリの裏側で!」 「翔ちゃん、このアプリて目茶おもろいやん、僕の家のコンピューターにもインストールできる?」 「ええよ、ここでSDカードにコピーしたるから持って帰り」
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