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今日、行こうと考えたのは単なる思いつきだ。たまたま用事があって寄っただけ。
花を買わず、線香とライターをコンビニで買って向かった。
天気予報は晴れ。
嫌になるくらい暑くて快晴だ。
東京のビルが立ち並ぶ中にある墓地。
出入り口で桶に水を入れて手水を借りる。
墓石へ向かうと、水鉢には萎れたお花が、香炉には火が消えた線香が置かれていた。
数日前に誰かが来たのだろう。
なんとなく察しが付く。
新しい火の灯った線香を香炉へ入れて母と祖父母に合掌する。
許さないでくださいと何度も祈る。
この花を、この線香をあげた人間が、どんな大罪を犯したのか忘れないでください、と。
ポツリ、ポツリと降り出す狐の嫁入りが何を意味するのか、わたしには分からなかった、分からないままでいた。
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