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なぜだろう。
8年前のことなのに心はまだあの頃に囚われたままで、そこから逃げたいと思うのに、逃げたらいけないとも思う矛盾。
いったいいつになったら、どれくらい経ったらこんな想いから救われるのだろうか。
こんなにも苦しくてつらくて重くて、どうしようもできないやるせない気持ちから。
「…っ」
ぐっと強く唇を噛む。
無理やりにでもそうしないと、〝あの日〟に拐われてしまうような気がした。
ズキンッ、と額の傷が痛む。
たとえどれだけの年月が流れても、それは決して癒えることなく続く。
深い傷跡を心に刻み込み、いつまでも忘れさせないとするように。
それはもう消えない跡以外はとっくに治ってるはずなのに、痛みと苦しさだけは残ったまま。
それはきっと、これからも一生背負っていかなきゃいけないものだ。
「…っくそ!」
忘れたいわけじゃない。
忘れられるわけがない。
それでも、こんな醜い自分ごと、罪を背負った自分ごと受け入れてくれる場所が欲しい。
あんなに大きな罪を犯した自分に、そんな居場所などあるはずがないのに。
…いや、あってはならない。
心休まる場所や人、なにがあってもそんなものはこの先もずっと不要だ。
だから、適当に遊んで適当に仕事して、日々をやり過ごしていくだけ。
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