初めての鼓動

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8年前のあの日からたくさんの女と遊んできて、挙げ句にはセフレだっている。 それでいいと思っていたし、これが自分の生き方だ。 それは今も変わらないし、幸せになることも誰かと一緒に生きていくことも望んでない。 たった一人の女にこんなに心を乱されることなんてなかったのに、彼女のことが気になって仕方ない。 わからない。 この気持ちは、このなんとも言えないような気持ちはいったいなんていう名前なんだろう。 これがどこにでもいる適当な女なら、きっとどんなことだってできると思う。 だけど、彼女に対してはできそうにない。 聞きたいことは山ほどあるのに、軽い男だと思われるのが嫌で声をかけることすらできなかった。 名前は? 年は? どこに住んでて、なにをしてる? どんな小さなことでも些細なことでもいいから知りたくて、あの瞳に映りたい。 自分に向けられる言葉が欲しくて、あの笑顔が見たい。 でも、簡単なことのようで、それがとても難しいことのように思えた。 知っている人ならまだしもなにも知らない、今日たまたま見ただけの人ならなおさら。 「……んだよ、これ…」 姿が見えなくなっても頭から彼女のことが離れなくて、いつまでも胸はドキドキと高鳴っていて収まらなかった。
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