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「それって一目惚れじゃん!?」
一目惚れ? この俺が?
今まで酒に溺れることはあっても女に溺れたことなんて一度もなかった俺が、まさか。
恋や愛なんてものは自分には必要のないもので、幸せに繋がるものは絶つべきだ。
「いやいや、まさか」
「でも、気になるんだろ? また会いたいとか思ってんだろ?」
「……まあ、できれば」
「仮に今は違っても、それって好きになる可能性があるってことだろ」
そんな感情があったのか、俺に。
あんなにつらくて苦しくて最低な過去を持った時からずっと、捨てたつもりでいたのに。
「うわ、マジかよ。あの瑞希が!?」
「……なに、その言い方」
「本当のことだろ。誘われればすぐにホテルに行くようなヤツだし、かといって付き合うわけでもないし」
「それはまあ否定しないけど、相手だってそれでいいって言ってるんだし問題なくね?」
後から考えれば、最低だった。
きっと今までたくさんの人を傷つけてきたはずなのに気付かなくて、知ろうともしていなかった。
きっと自分のことを想ってくれる人も少なからずいて、それは本気だったかもしれない。
それでも、なにも見ようとせず、あくまでも体の関係だけで済ませてきた。
過去になにがあっても、誰かを傷つけていい理由にはならないのに。
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