いちねんせい、しがつ

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「あ、ごめん、忘れてたとかじゃなくて」 ごめん彩葉、全然嘘 おれすっぽり頭から抜けてたよ 「んぁ〜?ならいいけど?」 あ、ちなみにコイツがおれの幼なじみの西条彩葉(さいじょういろは)。苗字から察したと思うけどかなりのボンボンで、おれは彩葉のお陰(せい)でこの学校に入れさせられている。 「あ、でも彩葉、次の時間は入学式だから、ちょっと早めに教室に戻らなくちゃダメじゃない?」 「なに?睦月はボクに早く戻って欲しいの?ねぇ、睦月がちょこっとがんばれば、睦月だってAクラスにいけたんだよ?睦月...睦月と同じクラスじゃないなんて...ボク、ボク」 「お、落ち着け彩葉、来年がんばるから、来年彩葉と同じAクラスになるから」 2度目の嘘をごめんよ彩葉くん。おれはどう頑張ったってBクラスか、それ以下だってばよ! 「ほんと?それ、嘘じゃないよね?」 「おれ嘘ついたことな「あるでしょ?」ハイ」 うーん、おれは嘘つきなとこがあるけど、それは彩葉を落ち着かせるためだし...しょうがなくない?うん、しょうがないよな? 「あっ、ほら、後2分しかない、おれ戻らなきゃ、目で殺されちゃう」 「何言ってんの?まぁいいや、いつものして?」 「ん?あぁ、いいよ」 彩葉は慣れた手つきで自分のワイシャツのボタンを2つ外し、鎖骨をチラリとおれに見せつける 「早く、噛んで」 ガリッ 彩葉に傷をつけるのはもう4年目なもんで、おれもすっかり慣れてしまっている。 ほんとに、傷をつけていいのか、これは本当に親友同士でするものなのかおれはよく分からない。だっておれ馬鹿だし…。何もわかんない。いやおれが馬鹿なのは全部、全部... 「睦月、早く出して」 「あっ、あぁ、わかった」 今おれ何考えてたっけ?ま、いいか ガリッ ガリッ 「ッ、もうちょい手加減してよ」 「足りないんだもん...足りない...足りない」 「あぁ、ほら、鐘鳴るぞ!」 こうなると彩葉はおかしくなる。彩葉はおれのことを噛まない方がいい気がする。 「じゃ、また入学式終わった後な?」 「約束だからね?破ったら...」 「わーったって!じゃ!また!」 ギリギリに教室入るの、キツイなぁ...?
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