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いちねんせい、しがつ
「このクラスの担任となる逢坂冬弥、んじゃとりあえずオマエ、このクラス仕切っといてくんねーか?」
...ん?逢坂先生はおれのことを指してるようにみえるけど...そんなわけないよな??
「チッ...無視すんな、オマエだオマエ、んーっと、仁坂睦月クン?」
「へぇっ!?」
仁坂睦月、間違いなくおれの名前だ。ん?ただ、おれな訳なくないか??
だっておれ、この学校にギリギリで入れたんだよ?こういう仕切る役って、入試の成績が良かったとか、中学の頃学級委員だった、とかでしょ?
おれがこの学校に入ることができたのは幼なじみのお陰だし、中学の頃目立つ役割は特になにもしていないし...なんでおれなんだ?
「チッ...これだからBクラスは」
ズンッ
このクラスの空気が一気に冷やされた、みんなおれのことをじとっ、と睨んだ。あぁ、みんなおれのことを目で殺しちゃうんだ。怖い、怖い。
「はっ、オマエらそんな睨むなって、Bクラスで1番優秀な仁坂クンだぞ?いいのかー?」
逢坂先生がそう発した瞬間、クラスはパッと明るくなった。目でおれを殺す人はもう居ない。
というか、1番優秀ってなに?おれ、ほんとに幼なじみのコネで入っ...あ、
>キーンコーンカーンコーン
おれの考えが纏まった瞬間、タイミングよく(おれからしたら悪い)チャイムが鳴り響いた。
「仁坂クン号令」
「えっ、あ!...気をつけ、ありがとうございました...!」
おれはもうみんなに目で殺されたくないのでしっかりとした号令を果たす。よし、任務完了...?
「おい、仁坂、お前ナニモン?」
話しかけてきたのは隣の席の...誰だろう?
でもとっても顔がよくて、顔だけならAクラスみたいな?そんな感じの男の子
って、考える前に返答返答!
「へ?あ、うーん、分かんない...?」
ナニモンて、おれをポケモンみたいに
「てか、あの空気キツかったな?よく耐えたな仁坂」
そういい目の前の男の子はおれのくせ毛がぴょんぴょん跳ねた髪の毛をくしゃっと撫でる
「え、あ、ありがと?あ、でも君おれのこと目で殺した...!視線感じたからね?」
「はぁー?んなわけ!俺BクラスとかAクラスとか正味どうでもいいし、」
そう言ってる奴ほど気にしてるんだ、って言うか迷ったけど目の前の男の子の目は本気で、おれはなんも言えなくなった。
「...じゃそういうことにしとく?」
「なんで疑問形?てか俺の名前そろそろ聞いてくんね?日比野琥珀っていうんだけど...ま、覚えろよ?」
うーん、琥珀というわりには、目の前の男の子は、The陸上部のエースで、うん、黒いな!
「あ、お前今琥珀のくせにって思ったろ?バレバレなんだよお前の顔」
「あちゃちゃ」
なんか、琥珀と話すのは彩葉と違って、無邪気で楽しい。彩葉はなんかねっとりで...あ、彩葉っていうのは
「にーさか?休み時間はボクと過ごす約束だよね?ねえ、後5分しか残ってないよ?」
ねぇ?ねっとりでしょお?
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