山でのキャンプはご用心

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 夜中に物音がして、俺は目を覚ました。  ガサゴソ……  テントの外から物音がする。  いや、テントが揺れている。  テントを開けようとしている?  誰かが外に出て戻ってきたのか?  しかし、仲間たちはちゃんとこのテント内で、いびきをかいて寝ている。  ガサゴソ……  かなり激しくテントが揺れている。  幽霊か?  幽霊をテントの中に入れたら、取り憑かれて川に歩いていって落ちるという、あの怪談を思い出した。  でも、幽霊なわけ、ないよな……  たいていは人間や動物の仕業なんだよ。  で、川に落ちるってのは、酔っ払って歩いてそうなったんだろう。  でも、まてよ……  今日のキャンプ場、利用者は俺達だけだったような……  俺は恐る恐る、テントの外に向かって声を掛ける。 「誰ですか?」  ガサゴソ……  返事がない。  誰だよ、このテントに入ろうとしているやつは。  仲間を起こしたほうがいいだろう。 「おい! おい!」 「……どうした?」 「なんか、テント、揺れてないか?」 「……あん? 風だろ?」 「違うって! 誰かいるって!」 「……しゃあねぇな……リーダーも起こすか。おい、起きろ~」  しかし、リーダーは起きない。  今もテントは揺らされている。 「おい、起きろって。誰かが外にいるんだよ!」 「……はぁ? んなわけねぇじゃん。今日は俺達だけだ……」 「じゃあ、幽霊か?」 「なに! 幽霊! 見せろ!」  うちのリーダーは、なんだってこんなにも幽霊が好きなんだ?  幽霊って言えば起きるのかよ…… 「俺は幽霊、一度見てみたかったんだ。よし、みんなで外に出るぞ!」  なんだよ、この行動力。  でもまぁ、不審者には複数で対応したほうがいいからな。 「は~い、どちら様ですか~?」  リーダーは一応、外に声を掛ける。  やはり、返事はなかった。 「間違いない、幽霊だ。怪談は本当だった! 行こう!」  リーダーを先頭に、俺達はテントを開けて外に出た。  そこにいたのは……
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