案内

1/5
前へ
/12ページ
次へ

案内

「これ、運動会の案内」  そう言って、小六になる次男がキッチンのテーブルに置いたのは、運動会の案内プリントだった。  私は振り返ったが、もう次男の姿はなかった。  テーブルの上には、プリントが一枚乗っている。 「親子障害走について」との文字が大きく書いてあって、要は六年生の親子競技についての内容案内だった。  その内容を確認しながら、私はため息を吐いた。  次男とは、高学年になった頃から、こんな感じだった。  必要以上に私とは言葉を交わさず、用件を話したら、すぐに居なくなってしまう。  まあ。  私といても、小言が多くなってしまうのから、しょうがないのかもしれない。  だが、母の私からしてみれば。  次男は、我が子ながら理解に苦しむ子だった。  まず、落ち着きがなく、どこに連れて行っても、私の手を振りほどき、自分の行きたい場所に行ってしまった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加