当日

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 低学年の時に、競技観覧中に友達にちょっかいをかけて、喧嘩になったこともあったから、本当に成長はしたのだ。  ただ。  それは、「やっと人並みになった」と言うレベルで。  縄跳びが跳べない子が、前跳びをやっと跳べて、周りが「すごいねぇ」と気を使いながら褒めているようなものだった。 「あの子は、あの子なりに考えながらやっているから。それは、認めてやろうよ」  私の言葉に、夫はそんなことを言った。 「……そうね」  私は、夫の言葉に頷きながらも。  私達を見る、周りの親達の視線が複雑なものを感じていた。 「―母さん」  と、その時だった。  次男が、私達がいるテントに駆け寄って来た。 「次、親子競技だよ。早く入場門に来て」 「別にお父さんでも良いんだぞ」 「お父さんは、重いから嫌だ。場合によっては、親をおんぶしないといけないんだよ」  
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