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五.
どれほどの年月が流れたのか、隔絶され閉じた空間ゆえ、全くわからない。
が、いちいちつっかかってくるものの意外にも新しい要素創りについて名案を示すヤエキと、それをどこにどれだけ置けばいい山になりそうかを閃くメノ。
二人の助言のおかげで、まだまだ一部分だけではあったが、山は山として機能する「系」を築き始めていた。
「なるほど……こういうことね……」
「ほんとにわかってんのかよ」
「まぁ、あたしたち山育ちでずっと山を見て暮らしてきましたから」
山頂から、完成しつつある麓の辺りを並んで眺める三人。
「なんとかなるような気がしてきたよ。
ありがとう。
この調子でどんどん行こうか」
ジンの言葉に、ヤエキとメノが笑顔で頷き合った。
「では、私はあっちに集めた彷魂をどんどん転生して、ヤエキが発案した要素を創りまくってくる」
遥か山腹にぼんやりと光る白いかたまりがあり、ジンはそちらへ向かって駆け去った。
「俺はここでまた新しいの考えるわ」
分厚いスケッチブックを開き、楽しげに筆を走らせ始めるヤエキに、
「じゃあ、あたしはあれとかこれとかをどこに置けばいいか、山を歩きながら決めてくるよ」
すでに創られ空中に仮置きされている、不思議な生物や、不思議な音や匂いを指さしながら、メノが軽快なステップで手を振った。
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