一.

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一.

つぎはぎのような山が、あった。 山の上空には、大木や岩や川や動物、動物たちの鳴き声までもが静止していて、時折その中の一つまたはいくつかがまとめて、山へと引っ張られるように降ろされ、そこかしこに配置されていく。 「いや……入り切らないか……? この鳥は何羽なら成立する? で、このつる草があったら、この虫もセット……? うぅーん、よくわからなくなってきた……」 男が一人、山頂で頭を抱えていた。 しかめつらでせっかくの男前が台無しながらも、その山に人間らしき影はその男しかおらず、気にとめる様子もない。 男は首をかしげながら、それら諸々の山の要素(エレメント)を指差し、その指を宙へと振った。 地面で静止していた木々や岩や動物たちが、再び宙へと舞って上空で沈黙する。 「いったん考え直してみよう……。 ……っと?」 男が肩を叩かれ振り返ると、ぼんやりと輝く何か白いものが長い行列を為していた。 「あぁ……! また彷魂(ほうこん)が増えてる……! どうしよう、何を創る? これ以上わけわかんなくなるのも……。 仕方ない、多少増えても大丈夫な土と風にでもしておこう」 男が白いものに触れていくと、それらはぱっとはじけ、土や風という要素(エレメント)となって山の一部を形作っていった。 と、その時。 山の(ふもと)の方から、バァーンッ!!という破裂音が(とどろ)き、男は驚いてそちらへ目を向けた。 「ヤバ、結界壊れた? なんか入ってきたのかよ、もう!」 声を上げながら、男は疾風のように音源の方へと駆け下りていった。
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