三.

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三.

「クマやイノシシ、あとサルも創らないで欲しいです。 作物を荒らすんで」 「いや、だから、そういう作物を育てるような人間を創る気はないんだよ」 「ジン様、さっきお創りになった草葉でお茶など入れてみましたの。 いかがです?」 「いや、だから、この空間では私もお前たちも何も食べたり飲んだりしなくていいんだよ」 「ってかメノ、お前、何こいつに媚売ってんだよ」 「あら、ヤエキ、焼き餅? 神様をこいつなんて、失礼よ」 「……うるさいな……やめときゃ良かったかな……」 にわかに騒々しくなった山で、ジンは自分の判断を後悔しつつあった。 実はジンは仕事が苦手である。 センスがないのか、と自分でも思う。 山というものの完成形が全くイメージできず、何をどのぐらいどこに配置すれば完成された山の「系」となるのかがわからない。 誰かの助言が欲しかったのだが、創生の神はみんな超多忙で他の神を助けている余裕などなく、ほぼ関わりがない。 そこへ人間とは言え二人も話の通じそうなのが現れたので、「帰せない」などと嘘をついてまで助手として山に置くことにしたのだ。 「帰しちゃおうかな……。 でも戦国時代の日本の農民なんて、あまりにも不憫で帰すのが忍びない……」 悩めるジンに、 「あの……また彷魂(しろいの)がたまってんスけど……」 ヤエキが背中をつついた。
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