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四.
「山の要素は彷魂を転生して創る。
彷魂とは、強い悲しみや未練を残して死んだ者たちの魂で、これは君たちの星の人間だけじゃなく、この世界に存在する全ての生命のもので」
ジンの説明に、
「ふんふん、わかります、尊いです」
メノが目を輝かせながら大きく頷き、
「何言ってんのかマジフメ(本当に不明)だけど、とにかくコレ使って山を創るのな」
ヤエキが彷魂の一つをつかんでぶんぶんと振り回しながら鼻で笑う。
「で……」
大きなため息と共にヤエキの手から彷魂を取り返したジンが続ける。
「なんかその……もうぶっちゃけると、私は下手なんで、どうしても創ったものに彷魂の記憶や人格が残留してしまう。
あっちにある、大きな赤い実のなる木、仮に「ヒメ」の木と呼ぼうか。
あれとか超失敗作で、恋人に裏切られて焼身自殺した某国の姫の彷魂が元なんだけど、あれのそばで機嫌を損ねるようなことをすると、燃やされちゃうんだよ。
せっかく創ったつがいの蝶が、並んでひらひらとヒメの前を通っただけで、いきなり燃やされたりしてさぁ……」
「あぁ……火の姫でヒメね。
命名も下手だな、ジン。
山としてもなんかもうメチャクチャだし……おごっ」
軽口を叩くヤエキの腹にメノの拳が食い込む。
「そんな木、引っこ抜いてまた創り直したらいいじゃないですか」
「そうもいかないだろ。
前世が残留してるのは私のせいなんだし、ただでさえ悲しみに暮れて彷徨ってた魂にまたそんなひどいことするなんて、神としてどうかって話で」
「お優しいのですね……」
「そうか?
腕が悪いだけだよ……」
目を輝かせるメノに、ジンはまた深いため息をついた。
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