実話ナックルズに書かれている事は全部真実

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実話ナックルズに書かれている事は全部真実

「そうか。上手くいかなかったか。」  一通り愛菜の話を聞き終えたなつきは、胸の前で手を組んで言った。 「宮脇とかいうマネージャーが酷いの。愛菜の事をこき使おうとして、洗濯とかさせようとするし・・・・。」 「・・・・・。気持ちは分かるけど、愛菜も悪いよ。」 「どうして?どうして愛菜が悪いの?」 「だって、愛菜がマネージャーやりたいって言ったんでしょ。自分の意志で。マネージャーなんてある意味、こき使われる雑用係だからね。」 「・・・・・どうしたら良いと思う?」 「どうしたら良いかって言われても・・・・すっぱり諦めるか、妥協して、奴隷になるか。どっちかでしょう。」 「どっちも嫌だ。」  はっきり答える愛菜に、なつきは苦笑した。 「それじゃあ、マネージャーにならずに、ここでひっそりとコシマエ君を応援してれば良いじゃない。遠くから見守ってさ。」 「・・・・・。見てるだけって事?」 「そう。それが一番じゃん。」 「・・・・・遠くから応援するだけ・・・嫌だな。」  愛菜はぼそりと言った。 「なんで嫌なの?アイドル応援するのと一緒だよ。幾らアイドル応援したって、自分のモノにはならない。けど、皆、ライブに行って推し活するでしょ。コシマエ君をこっそりと推し活すれば良いよ。」  なつきは越前と関わらず、距離を取って応援する事を勧めた。愛菜の答えは・・・・・。 「絶~~~~~~対、嫌。」 「どうしてよ。」 「距離を取っての推し活なんて嫌だもん。推してるアイドルが手に入らないなんて誰が決めたの。手に入るよ。自分がそのアイドルと同じステージまで上がれば良いだけじゃない。」  なつきは愛菜の児戯に等しい言動に呆れた。 「そんな小学生みたいな事、言わないでよ。無理だって。」 「無理じゃないよ。みんなやってる事だよ。例えば昔、長渕剛がアイドルだった石野真子のファンで、自分は絶対、石野真子と付き合うって。長渕は実際に上に上がって石野真子と付き合ったんだよ。」 「それ、愛菜から前に聞いた。でも、結局、別れたんでしょ。」 「それは長渕が暴力男だからだよ。DVで逃げられた。逃げられたけど、上に上がって実際に付き合うのって凄くない?」 「まあ、凄いと思うけど。でも、それは特異な例だよね。」 「そんな事ない。乃木坂だってそう。」 「乃木坂って、乃木坂46?」 「そう。齋藤飛鳥が言ってたんだって。「乃木坂はジャニーズ狙いばかり」って。つまり乃木坂のメンバーは元々、ジャニーズファンが殆どなの。ジャニーズと付き合う為にアイドルになって上に上がった人たちの集まりなんだよ。凄くない?」 「・・・・・。それって、本当の話なの?」  なつきは疑心暗鬼である。だが、愛菜は確信を持って答えた。 「全部本当。乃木坂のメンバーが卒業するのはジャニの子を孕んだから。白石麻衣も齋藤飛鳥も皆、そう。」 「絶対嘘。白石麻衣も齋藤飛鳥も妊娠してないし。」 「堕ろしたんだよ。乃木坂は水子メーカーだからね。」 「・・・・・。そんなの、只の噂話でしょ。誰から聞いたの?」 「本に書いてあった。」 「本って・・・何の本?」 「実話ナックルズ。」  なつきは絶句した。そんな胡散臭い雑誌の記事を鵜呑みにするとは・・・・。 「あれは三面記事。法螺話だよ。出鱈目なの。」 「そんな事ないよ。ナックルズに書いてある事は全部本当になるの。ろくでなし韓国人のレイパー・新井浩文の犯罪を最初に暴いたのはナックルズだからね。」 「大分、前の事件だよね。いつから読んでるの?」 「う~~ん。小学校の一年生ぐらいかな。」 「・・・・・・。やさぐれた子供だったんだね。」  なつきは愛菜のアウトロー気質の謎が理解できた気がした。読む本によって人間の人格は影響を受けるものである。 「兎に角、乃木坂はジャニと乱交しまくりで。乃木坂のメンバーが乱交で妊娠して、親が堕ろす様に言ったんだけど、堕胎を拒否して産んだんだって。ジャニメンバーが謝罪したって書いてあったよ。」 「誰?そのジャニメンバーって?」 「山田涼介だって。」  愛菜はナックルズを小さい頃から読んでいる為に、ダークな迷宮世界に迷い込んでしまってる様だった。 「それ、SNSで書き込んだりしないでね。名誉棄損だよ。」  なつきは愛菜に釘を刺すのを忘れなかった。 「兎に角、ナックルズは凄いよ。裏情報を知るならこれに勝る雑誌はないね。なつきもこれからはちゃんと読んでね。月末発売だから。」  愛菜は何故か雑誌の紹介を誰ともなしに始めた。なつきはナックルズから愛菜は金を貰っているのかと訝しんだ。 「なんでナックルズの宣伝するの?」 「なんとなく。まあ、それは置いといて・・・・。愛菜は越前君と同じ土俵に立ちたいの。だからマネージャーになりたいんだけど・・・・・。」 「それじゃあ、何で雑用やらないの?」 「爪が割れるし、こき使われるのムカつくし・・・・・。」  なつきは深く溜息を付いて言った。 「コシマエ君狙いでマネージャーになるんだったら、向こうに合わせないと駄目だよ。狙ってる人との恋愛って妥協だから。如何に自分の我を捨て、向こうに合わせられるか。それに尽きるって。」 「・・・・・・。」 「自分の我か、相手の価値観か。どっちを取る?」 「・・・・・・。」 「相手の価値観に合わせられないって言うんだったら諦めるしかないよ。」 「・・・・・・うん。」 「・・・・・・。まあ、じっくり今晩、考えて見る事だね。」
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