野球部追放!

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野球部追放!

「・・・・・やっぱり、さっきのは君が悪いんじゃないのかい。」  中沢が険しい表情で言った。 「いえ、愛菜は悪くないです。マネジャーは奴隷ではありません。拒否権があるんです。」 「・・・・・そのセリフはさっき、会長が言われたって言ってたよな。」  蛭田は皆に同意をも求める。皆、頷いた。それを見て初めて自分の立場が悪くなっているのに気付く愛菜。 「なんですかその目は。愛菜が動画をアップすれば、汚名を挽回できるんですよ!」  白い目で見られている事にたじろく愛菜は、必死に自分の有用性を訴えた。 「そもそも読書部に負けた動画をアップしたのって、お前じゃねえの。」  桃太郎に鋭く核心を突かれ、愛菜は動揺を隠しきれない。 「な、何を言ってるんですか。愛菜がそんな事をする訳ないです。」 「だってさ、試合中にギャルが試合を熱心に動画で撮影してるのを、俺見たんだよ。あれお前だよな。」  桃太郎は愛菜の事をよく記憶していたらしい。これは拙い事になった。 「ど、動画は撮影していたけど、アップロードはしてないよ。わ。私じゃない。」  アップロードはなつきがしたもので愛菜ではないが、嗾けたのは愛菜だ。共犯とも云えたが、ここは否定しなければ。 「お前さあ、何がしたいんだよ。マネージャーの仕事は全くしない。その癖、動画の撮影は熱心でさ。冷やかしじゃねえのかよ。」 「ち、違うよ。」  越前に凄まれて、愛菜はしどろもどろになる。 「また、俺達を馬鹿にした動画をアップして、笑いものにしようとしているんじゃないのか。」 「違う。そんなんじゃない。」 「それじゃあ、この前、アップした動画はなんなんんだ。確かに俺達は読書部に負けた。それは事実だ。だが、お前の様な何の目的も無く、生きているだけの奴らに笑いものにされる謂れは無い。ふざけるな。」 「越前君、待って。愛菜は本当にアップしてないの。」 「嘘つけ!お前の態度を見てれば、犯人であることは明々白々だろうが。なんだかんだ言って、マネージャーの仕事をしないのがその証拠だ。」 「・・・・・・・。」 「出て行け!お前の様な下卑た女の顔を見てると吐き気がする。もう二度とその厚化粧の顔を見せるな。」 「越前。気持ちは分かるが、芦田さんが犯人だと決まった訳ではない。決めつけるのは・・・・。」  手塚が血気に逸る越前を止めようとするのを最後まで聞かず、愛菜は逃げだした。 「あっ!ちょっと、愛菜ちゃん。」  咲良が止めようとするのを振り払って、愛菜は遁走した。  なつきが教室で携帯を弄っていると、愛菜が飛び込んで来た。 「わっ!な、何、どうしたの?」 「なつき、越前君が酷いの。」  愛菜はなつきの胸で号泣した。
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