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(光)
チャレンジは失敗した。そして俺の権利は0になった。使い切ってなくなってしまったら、もう頼るものはない。だから、そうなったらもう絶望しか残らない。ずっとそう思っていた。
それでも、医者の宣告より大分長くいまだ生き続けている。
「あっ、イチゴもーらいっ!」
おのれ、今日もイチゴを取られた。
もう生クリームのケーキなど、そうそう食べ切れない年頃なので、カットを一つだけ買って二人で分ける。が、上に乗っかっているイチゴは一つだけ。……それはいっつも紗矢に取られる。
でも。
「イチゴパック買ってあるから。あとでゆっくりどうぞ」
気分は出ないが、パックのイチゴをいつもストックしてくれている。
割れ鍋に綴じ蓋。とにかく短絡的に突っ走る妻と、何かと後に残しておきたい夫。共に、もうチャレンジ権は使い切ってやり直しはきかない。けれどそんな二人で融通しながら生きてゆくのも、悪くない。
(終)
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