(紗矢)

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(紗矢)

「は?」  何て言ったんだ、こいつ。  あたしと光はアパートの屋上にいた。花火が、夜空に明るさを放ち、遅れて音を上げてはしだれ落ちていく。あたしの住むボロアパートの屋上は、この地域の年に一回のこの日だけ、プレミアのつく場所になる。 「やるよ、俺の分」  光が微笑んだ。そして、屋上の塀をひょいっと乗り越えて――  ふざけんな!  昔からあたしの方が力持ちだ。細っこい非力な光を足の着く場所へ引き戻すくらい、簡単なんだから――多少腰を痛める年齢ではあっても。 「俺にはあと一回チャレンジ権が残っている。でももう必要ないから。お前が娘と暮らせないことへのリプレイ検証に使え」だなんて。  そんな。そんなの――
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