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(光)
紗矢の奴、権利を二回に減らしたらしい。いつもウカウカ油断だらけで歩いているんだから、覆らなかった判定は妥当だろ。逃げた車は特定されたけど、紗矢には怪我もなく、クラリネットの損傷も事故との因果関係は証明されなかった。
ったく、そうなることは、ちょっと考えればわかるのに。呆れちまう。自業自得、せいぜいつまらないことで権利使い果たせ。
まあ絶交したのでどうでもいいし、そもそも今、俺はそれどころじゃない。
いくつ訪問しても断られる。
いわゆる会社訪問だ。大学の成績もいいし、面接の感触もいい。なのになぜか「お祈りメール」ばかりが来るのだ。俺は、食事も手につかず、よく眠れない日が続いていた。
そうしてどこか気が変になっていたのか、俺はふらふらと大銀杏さまを訪ねていた。
何かの手順がおかしいのか、努力が足りないのか、自分の無能に気づいていないのか。
「大銀杏さま、○×△社の不合格は何かの間違いではないのでしょうか?」
そんなことを神頼みしたくはなかった。俺はとにかく切り札は取っておきたい。そういう主義だったけど、ここで一枚カードを切ってしまうほど、気持ちが弱っていた。
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