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聞いてみる。
「そういえばおまえ、鼻が悪かったな。治ったのか」
「いや、治ってないよ」
柳田は鼻が悪くて、あらゆる匂いがほとんどわからないと聞いていた。
それは今でも同じなようだ。
それだけ聞いて、俺はおもむろに立ち上がった。
「急用を思い出した。悪いな。帰るわ」
「えっ? ああそうか、しょうがないな。また遊びに来てくれよな」
「ああ、わかった」
部屋を出る。
柳田にはああ言ったが、俺は二度とここに来るつもりはなかった。
なぜなら柳田の部屋は、強烈な猫の臭いで充満していたからだ。
終
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