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「平井さん、良かったら」 「悪いけど、彼女を慰めるのは俺の役目なんで」 「っ」 不意に 聞こえてきた いるはずのない真島くんの声。 ゆっくりと顔をあげると 涙で歪んで見えないけれどそこには確かに真島くんがいた。 「帰りますよ、さくらさん」 「ち、ちょっと待てよ、真島。お前、まさか平井さんと」 「ええ、付き合ってます。アナタたちが普段、喪女だとか言ってバカにしたり、仕事を押し付けたりしていた時からね。」 「……いや、俺たちは」 「……本当、見てて滑稽でしたよ。たかが、見た目が変わっただけで、今まで自分たちが彼女にしていたことを忘れ目の色変えて尻尾を振り群がるアナタたちを見るのは」 「……」 「と、いうことで、彼女は随分前から俺のなんで返してもらいますね」 「え、あっ」 いきなりのことで 思考がとまり呆然とする 私の腕を引っ張り 彼に手を引かれるがままに居酒屋を後にした。 .
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