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 それから、私は何度も彼とデートをして、何度も彼に抱かれた。  しかし、幸せと思える時間は、そう長くは続かなかった。  彼に抱かれている時、本来は奥さんのものであるはずの、その人を、私が奪っているという背徳感に、痺れるような快感を覚えた。そして、その行為に私は溺れた。  一方で、最後は奥さんが待つ家へと帰って行く、その背中を見送る度に、結局は自分のものにはならない虚しさを感じていた。  次第に、私の心は擦り減っていった。  だけど、私は、その人への想いを断ち切ることが出来なかった。
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