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一年余りが過ぎた頃、私は身も心もボロボロになっていた。
体重は五キロ以上も減り、夜も中々寝付けず、いつも睡眠不足でフラフラしていた。
その人は、そんな私を見かねて、
「もう終わりにしよう」
と勝手なことを言った。
本当は、私も分かっていた。二人に取って、それが正しい選択であることが。
だけど、二人に描ける未来がないことを、私は認めたくなかった。
「私を捨てるのね」
私は隈の出来た目で、その人をボンヤリと眺めた。
「ごめん」
その人は両手を私の背中に回して、優しく抱きしめた。
「謝らないでよ。謝られると全部嘘だったみたいじゃない」
私は抱きしめられながら、その人の耳元で囁いた。
「今も変わらない。僕は君のことが好きだ」
その人の頬を熱いものが一筋伝って、私の髪の毛を濡らした。
「そんなことを言ってると、別れられないよ」
私の頬に、次から次へと熱いものが溢れ出した。そして、彼のシャツを濡らしていった。
「あと一回、最後にデートをしよう」
その人は、そう言うと、私の髪の毛を優しく撫でた。
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