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2 命名「ルナ」
あたしたち【保護猫】は里親を待つのだけど、あたしは幸運なことに動物病院にいる間に由香里に気に入られて、今のお父さんとお母さんと由香里と直也の家族になった。
「ねえ、お母さん。」
「あら、由香里、来てたの?珍しいね。」
「この黒い仔猫可愛いよね!」
「あぁ、3日前に保護した仔猫ちゃんね。」
「あの、お母さんの実家にあったマンガに出てくる黒猫…ルナに似てない?」
「えぇ?まぁ…額の白いところが三日月に見えなくもないけど…。」
「この仔猫の里親決まったの?」
「まだよ。3日前に保護した猫たちの健康診断とか傷の治療とか去勢とかがすべて終わってから一斉に里親募集するから。」
「この子、片目見えないんだよね?うちで引き取れないかな?」
「そうね、生まれつきなのか、過ごしてた環境のせいなのか、右目が見えていないわね。由香里がちゃんとお世話するなら引き取っても良いわよ。」
「もー!子どもに言うみたいなこと言わないでよ!笑」
「お母さんにとっては由香里はいつまでも子どもよ。」
「私も社会人なんだからね!ちゃんとお世話するわよ。命に対する責任でしょ。」
「そうね。でも、あなた、引っ越し予定先はペット可物件なの?」
「あー…、なんか最近は秀人の仕事が忙しいみたいであまり連絡が取れてなくて…。まだ探す段階にもなってないから。探すことになったらこれから『ペット可』も条件に探すよ。」
「そうなの?まぁ別に期限があることでもないから焦る必要はないわ。物件はちゃんと考えて選びなさいね。」
「はーい。」
「ところで、由香里、この子の名前は?」
「私が決めて良いの?当然『ルナ』だよ!ルナー、今日から私たちは家族だよ!よろしくね!」
こうしてあたしは由香里に気に入られて、家族に迎え入れられたの。あとから知ったけどお父さんとお母さんは獣医で、あたしが由香里に出会ったのもお父さんとお母さんの動物病院みたい。あたしたちを保護したのはボランティア活動だったんだって。
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