6 気まずい

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6 気まずい

 浅見(あさみ)秀人(ひでと)が家にやってきてから2ヵ月程経ったある日のこと。 「(ねえ)ちゃんさ、最近休日に家にいるの(なん)で?」  アルバイトを終えて帰宅した直也がリビングであたしと遊ぶ由香里に向かって突然変なことを言い出した。そんなのあたしと遊びたいからに決まってるじゃん! 「秀人さんと暮らす物件の内覧とかさ、結婚式を挙げるつもりなら式場探しとかしないの?」 「直也は私の心配なんてしなくて良いの!それよりもあんたこそバイトばっかりして勉強は大丈夫なの?この動物病院を継ぐんでしょ?」 「姉ちゃんこそ俺の勉強の心配なんて大きなお世話だよ!」  何とも気まずい雰囲気。 「ミャー。(直也なんてほっといてあたしと遊ぼうよ!)」  私は由香里を見上げて声を掛けた。 「ルナ、お腹空いたの?カリカリ食べる?」 「ミャッ!(お腹は空いてないけどカリカリは食べたい!)」 「ルナは食いしん坊だなぁ。カリカリ取ってくるから待っててね。」 「ミャーン。(待ってるよー。)」  お母さんにはあたしの気持ちは伝わるのにな。やっぱりお母さんは獣医さんとしてずっと動物と向き合ってるからかしら?
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