男死山

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「あーくそ! 迷った!」  ウサミは足元に生えている松茸を踏み潰した。目の前は真っ白な霧で覆われており、五メートル先すらほとんど見えない。GPSの使えなくなったスマホをポケットに突っ込んだ。  歩き疲れて疲れていたので、その場に胡坐をかいて座り込む。群生している松茸がいくつか尻で潰れる。幸いなことに、この山にはクマなどの害獣が出ない。霧が晴れるまでここでおとなしく待って居よう。  そういえば、ワタヌキは無事だろうか。
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