白い墓

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「とりあえず渋谷に設置されていた『捕獲所』は、さきほど粉砕した。  あの音声はね、母船からの通信だったんだ。 本体は母船と戦艦五千機で待機しているんだ。それを倒す」 「そ、そんなに!」 「その程度だよ」 後藤さんが、余裕の笑みをみせたので、俺はゾクリとした。 後藤さんの身体がボウゥッ.......と、光ってきた。 「高田くん、私は、息子の眠る山を守る為に。 この惑星を残す為に、戦うよ」 「後藤さん......」 「高田くん、親にとって子の命はね、星ひとつよりも重いんだよ」 そう言い残して、後藤さんは消えた。 一瞬のまぶしい光に包まれたあと、気づけば渋谷の道玄坂に戻っていた。 俺たちが捕らえられていた建物は、ただの空き店舗になっている。 「後藤さん......」 俺は星のみえない空を見上げた。 「後藤さ―――ん!!」 どれだけ叫んでも、叫んでも、後藤さんにはもう届かなかった......。
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