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「……はっ! こら! 何を一件落着したようなムードを出しておるのだ! 我の方に注目せんか!」
「先生、ラッコがわめいてますよ。これはどういうトリックなのでしょうか」
「そうだね、どこかにスピーカーを仕込んでラッコが喋っているように見せかけているという可能性もあるにはあるが……」
「ラッコではないというのに〜! お前達では埒が明かん! 一番偉い奴に会わせろ!」
ラッコは苛立ち紛れにほっぺをもにもにとマッサージしながら云いました。
「ここで一番偉い人というと……山荘の主、水鳥川氏だろうか」
「そういえば水鳥川氏は何処に? 水鳥川夫人」
「分かりませんわ……主人は鼾も大きいし寝相も悪いし寝起きも悪いから、寝る部屋は別にしておりますの……」
まさか、と皆が思っているところに断末魔が響き渡りました。
「ぐおおおおおおっ!!」
「そんな……! あなたっ!!」
慌てて水鳥川氏の寝室へと向かう夫人を皆で追いかけ、ぽつねんと取り残されたラッコも寂しいので皆の後をぽてぽて追いかけました。
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