解決篇

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 結局ラッコは空いてる部屋のベッドですやすや眠り、朝には朝食をもりもり食べました。オムレットのケチャップがとてもお気に召したようです。 「いやあ、昨日は大活躍だったそうだのう木戸君! わしの仇を取って雪男をふん縛ってくれるとはたいしたもんじゃ。こいつはわしも負けてはおれん。どれ、ここでとっておきの手妻(てづま)を……」 「いえ、これまでの歓待でお心は充分伝わりました」   「本当にうちに来ないのかい? ラッコ君」  山荘からの帰り道、車を運転しながら木戸探偵は尋ねました。 「誰が下等生物のペットになどなるものか。我はこの星で一番偉い者に会い、ルートリス星大使として友好の架け橋となるのである」 「前はこの星を支配してやるとか云ってたじゃないか」 「我は気付いたのだ……争いは何も産まないということにな……」 「自分の武力がなくなったからというだけのくせに」  助手とラッコの一触即発の雰囲気に、木戸探偵はちょっとエモめの空気で切り込んでいきました。 「寂しくなるね。ほんの少しの間柄だったというのに、共に難事件を解決したせいか、心の通じ合った旧友と別れてしまうような心持ちだ」  探偵と共に事件を解決したのはラッコの宇宙船の方な気がしますが、ラッコの心には刺さったようです。 「フン、……まあ一度ぐらいは我に供される豪邸へ貴様等を招待してやってもよかろうなのだ」  その後、ラッコは立派な建物の門番に宇宙人であることを伝えて入れてもらおうとするものの面妖なラッコだと思われて追い出され、喋るラッコに目をつけた見世物小屋の主人に捕まり「宇宙海獣対雪男」という演し物に無理矢理出されてピスンピスンと泣いていたところを我等が名探偵木戸彦太郎に助けられて正式に探偵事務所のマスコットとなるのですが、それはまた別の機会にお話しましょう。
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