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衝突音が響き渡り、山荘にいた人々はすわ第一の殺人かと慌てて集まってまいりました。ここで到着が遅ければ犯人だと疑われかねないからです。
「どうしたんだね木戸君、まさか君の部屋が密室殺人の舞台になったんじゃなかろうね」
毎度おなじみ、木戸探偵とはずぶずぶの関係である安原警部もやって来ました。都合よく彼もこの山荘に招待されていたのです。
「さあて、鬼が出るか蛇が出るか……宇宙海獣が出るかもしれないよ」
しれっとネタバレしながら木戸探偵がドアを開けると、中には謎の銀色の物体があり、直撃に遭って割れた山荘の窓からは吹雪が吹きすさんでおりました。
「これは……アダムスキー型UFOだ」
「あだ……なんだって?」
「おっと失敬、アダムスキー型UFOは戦後に流行ったものだったね。こう、薬缶の蓋のような、ひっくり返した灰皿のような形で……」
この物語の時は名探偵華やかなりし時代であり、ざっくり第二次世界大戦前の世界なので戦後の話をしても誰にも通じないのです。
部屋の中にあったUFOは衝突により破損している部分はあるものの、まさしくアダムスキー型UFOの形をしていました。
どんな形かは画像検索していただいた方が早いことでしょう。
「形は見れば分かる。そのアダムスキーとやらは一体何なのだ」
「アダムスキー型UFOというのは宇宙人が乗る円盤のことさ。即ち、このUFOの中には地球外からやってきた宇宙人がいるんだ」
「なんだって。すると我々は宇宙人と遭遇することになるというのか」
人々は驚き恐れながらも、宇宙人が出てくるのを固唾を飲んで見守りました。
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